開運ハンコ

    開店10時閉店9時の新宿の美容室で働いていた平成3年9月3日の、仕事を終えて夜の9時半か10時頃のこと。新宿の地下街を一人で歩いていたら、若い女が二人、「先祖の霊がついている、先祖の霊がついている」と言いながら近づいてきて、手相を見せろだの生年月日を教えろだのと言ってきました。言われるままに手相を見せ、生年月日を教え、立ち話となったのですが、話が長くなりそうだったので、京王プラザホテルの喫茶店に場所を移しました。

    ハート

     彼女たちによると、私はご先祖様が死ぬ間際に気づいたことや死んでから気づいた使命をこの世で果たす氏族の使命者(指名者?)で、もし私が使命を果たさずに死んだ場合は、ご先祖様と一緒に子孫の中から使命者を探すんだそうです。それと運勢の変わり目なんだそうだ。
    「で?」
     彼女たちの話はここから先になかなか進まない。
     私が氏族の使命者なのは分かった。運勢の変わり目なのも分かった。で、どうしろというのか。夜の9時まで店にいて、地下街から京王プラザに来たのだから、もう真夜中ではないか。言いたいことがあるならトットと言えとせっついた。なんということはない、彼女たちが取り出したのはハンコのカタログで、要するにハンコを買えってことなのですよ。そうならそうと早く言えばいい。ちょうど手持ちのハンコが不満で、ハンコを買い換えたいと思っていたところだったから、私は積極的に熱心にカタログをめくりました。

     するとどうでしょう。白メノウの素敵なのがあるじゃないですか。すっかり気に入ってしまいました。
     彼女らの能書きによると、私の本名の画数は大凶数なんだそうです。これは以前から言われてたことで、身の回りから暴力沙汰が絶えないと姓名判断の本で読んだことがあるし、「男ならまだしも、女の子にこんな名前をつけるなんて」と、私が小さかった頃に母も誰かに言われてる。で、本名は変えられないから、彼女らはこれをハンコで調整するとのこと。気に入った素材も見つかったし、即決でした。もう夜中の一時を過ぎている。手元にお金はないから、朝9時に池袋の富士銀行で落ちあうことにし、家に帰りました(タクシー代は彼女らが払ってくれました)。
     家に帰リ着くと、もう寝ているかと思った母が起きていて、私の顔を見てから時計を見て、なんと!
    「あーあ。女の子がこんな時間に帰ってくるなんて……、おまえが悪いんじゃないんだよ、名前が悪いんだ」
    と言ったのです。
    「おかあさん。長い間心配かけたけど、もうその問題で悩むことはなくなるから安心して」。

    ハート


    数日後。彼女らから出来上がったハンコを受け取りました。
    調整されたハンコは自分の分身だから、積極的に使って、世間に流布させるようにとのことだったので、ケータイやプロバイダの契約書、城北法律事務所の救援会費の領収書などに大いに押すように心がけています。
     
  • 2009.07.19 Sunday
  • 09:09
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  • 2017.09.23 Saturday
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