痴漢冤罪練馬駅事件

     痴漢冤罪練馬駅事件の資料を読んだので、救援新聞豊島版09年新春号では書ききれなかったことをブログに書くことにしました。


    事件のあらまし
    平成19(2007)年4月6日、仕事帰りのNさん(当時43歳)は、池袋から西武池袋線準急小手指行きの最後尾車両に乗りました。電車は新聞が読めないほどには混んでいたものの、人と人が密着するほどには混んでいませんでした。
     Nさんは、この電車に進行方向左向き立ち、右肩にショルダーバッグをかけ、左手のケータイ電話でお嬢さんからのメールを読んでいたところ、電車が最初の停車駅練馬駅に着く直前に、突然右前にいた女性から右腕をつかまれ、痴漢呼ばわりされてしまったのです。練馬駅で下車し、ホーム上で、痴漢などしていないと抗議したのですが、聞き入れてもらえず、練馬警察署に連行され、「女性の臀部を着衣の上から数回触った」として迷惑条例違反で起訴されてしまいました。
     Nさんは一貫して犯行を否認していますが、昨年3月24日に東京地裁は「懲役4ヶ月 執行猶予3年」の有罪判決を下しました。Nさんは控訴し、現在、東京高裁で無罪判決を求めて闘っています。(判決は本日午後1時30分です)


    無実のポイント
    ―性供述の変遷 被害女性の供述の変遷で取り上げるべきはいくつかあるのですが、ここでは一つだけにしておきます。
     被害女性は、臀部を右側から左側に手のひらでさするように触られ、その手のひらは、また右側に戻った。これが二度あったと言うのだから、犯人は女性の右側から手を出したと考えるのが自然なのに、Nさんは女性の左後方にいたのです。で、次は捕まえてやろうと、それまで胸の辺りで両手で持っていたコーヒーカップから左手を離し、体の横に下ろして待機していたところ、同じように触られたので、右側から左側に移動している途中の犯人の手を、振り向くと同時に左手でつかんだ。それはNさんの右手だったと言っています。臀部を触られているところを見たわけでも、臀部に密着している手を取り押さえたわけでもなく、臀部から10cm離れたNさんの手をつかんだにすぎないのですが。
     では、臀部を右側から左側に手のひらでさするように触られ、その手のひらはまた右側に戻ったというのに、どうして左後方のNさんが間違いなく犯人だと思うのか。この素朴な疑問の答えは、被害女性の初期供述にあります。
     被害女性は事件発生直後に警察官にこう話しています。
    「電車が池袋を出てしばらくしたところ、背中に何かが当たった(Nさんのバッグかも)ので振り返ると、真後ろには誰もいなくて、左斜め後方に、ショルダーバッグを右肩にかけたNさんがいるのを確認し、振り向きなおした。その後、臀部を右側から左側に手のひらでさするように触られたので、さきほどのNさんを犯人と思った」。
     つまり被害女性は、痴漢の犯人の手をつかみに行ったのではなく、Nさんを犯人と思い、Nさんの手をつかみに行ったことになります。
     それが11月29日の公判供述では、「Nさんを犯人と認識したのは、臀部を触られているときに振り向きざまに左手でNさんの右手をつかんだとき」に変わってしまっています。
     そもそも、初期供述の書かれた現行犯人逮捕手続書は、弁護側の請求で検察がしぶしぶ出したものです。ま、女性の被害申告があったにせよ、Nさんを起訴したのは検察ですから、検察は無罪が出たら困るのでしょう。
     問題は裁判所です。公判供述が、事件発生から半年経って記憶が曖昧になっているだけでなく、いろんな思惑(無罪が出たら困る検察などの)がからむのに比べ、初期供述はそのようなことがありません。被害女性の供述より他に目撃者も物証もない本件のような場合は特に、女性供述の信用性を吟味する必要があると思うのですが、一審判決は、初期供述にはまったく触れず、女性の公判供述だけを判断材料にし、Nさんに有罪判決を出してしまいました。

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     本件において被害女性の言い分どおりの事実があれば、Nさんの手のひらに女性の着衣の繊維が付着するはずなのに、Nさんの手からは女性の着衣の繊維は一本も出てきていません。が、一審では、「触ったからといって繊維が検出されるとは限らないと」とされてしまいました。この問題に対処するため、控訴審に向け弁護側は新たな証拠を作りました。
     つまり、被害女性の言い分どおりの事実があれば、Nさんは電車の中で女性のお尻を触ってから警察で繊維を採取されるまで、パトカーに乗ったりなんだり、一時間ほどいろんなことをしていることになるわけで、これをタクシーで再現し、一度付着した繊維が全部消えてしまうものなのかを調べたのです。その結果、繊維は四本残っていました。この一部始終を記録したDVDと繊維の顕微鏡カラー写真を収めた180ページに及ぶ鑑定書を新証拠として提出し、採用されています。


     ほかにも、Nさん以外の人間が犯人である可能性を示すものなど、控訴審で採用された証拠はいくつもあるので、本日午後1時30分には、逆転無罪が出ると確信しております。
  • 2009.01.22 Thursday
  • 07:59
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  • 2017.05.23 Tuesday
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